師範の呟き【服】<ケネスフィールド>のプリントパンツ

アイビーだのコンチだの言ってたんですが、90年代は、いっときエスニックファッションにハマってましてね。トレンドでもあったけど、ブラックミュージックとエスニックって、ルーツ・オブ・ソウルとかラスタファリズムとか相通じるものがあるようで、音楽から入ったエスニックが好きでした。久保田利伸さんのスタイリングにも取り入れたりしてね。

上から下まで全身エスニックっていうのは好きじゃなくて、テーラードのジャケットにイージーなパンツとか、プリミティブな柄パンを合わせてましたね。夏場はTシャツに柄パン&サンダル。そんでレゲエハット。赤、黄色、緑、黒のラスタカラーのニット帽とかかぶってね。ハリウッドランチマーケットやらチャイハネやら、よく足を運びましたよ。

コットンリネンのプリントイージーパンツは、クサケン(※ケネスフィールドのデザイナー、草野健一さん)がブランドを立ち上げてすぐの頃、カーキの無地のパンツと一緒に購入したものです。フラワープリントの褪せた色合いが、なんだかエスニックな気分でしょ。見て一発で気に入りました。太すぎないゆったりしたシルエットに、膝下は意外と細くテーパードしてタキシードパンツみたいな側章が入ってる。側章はいまじゃココンチのアイコンデザイン。デニムにも入ってるけど、これが最初なんです。

雑誌の企画で、何人かスタイリストがニューヨーカーの紺ブを好きなようにコーディネートしてくださいって言うので、このパンツ合わせてダンガリーシャツをタイドアップしました。足元は茶色のフルブローグウィングチップ。こんなスタイリング、アタシだけでしたねぇ。

コンサバど真ん中はアタシらしくないような気がして。きちんと見えるようにドレスアップするのは、なんとなく気恥ずかしくて、どこかくずれているほうが自分らしいように思うんです。だから紺ブレを着るならこのパンツか、エトロのペイズリープリントパンツですね。仕事ではグレーパンツばっかり穿かせてましたけど、個人的はじつはあんまり穿かないんですよ。