師範の呟き【服】<エトロ>のキルティングコート

80年代後半辺りから<エトロ>好きでして。最初は高級セレクトショップのパイニオニアである「サンモトヤマ」さんが扱っていて、たまに店を覗きに行っていました。ブリティッシュとフレンチのテイストを併せ持つような感性が、いい感じにアタシのツボを刺激してくれたのですよ。

それから数年後、エトロは三喜商事さんに移りました。その数年後には長男のキーン・エトロがメンズ部門の主任デザイナーに。このコートは恐らくキーン就任した頃の物で、サンプルセールで見つけたB品なのです。

よく見ていただくと分かると思いますが、フロントジップの左右にはボタンホールが開いています。これは空想ですが、もしかしたら最初はトグルや拝みボタンのような仕様を想定して作ったものの、製品化の際に障害が発生して、フロントをジップに変更した…、そんな経緯があったのかも知れません。そんなわけで傷物扱いだったので、かなりの安値で手に入れたというわけ。

とはいえ、この色合いは正にエトロならではの美しさがあって、袖と襟のリブも2色に彩られています。シルエットは細長で、実に軽くて暖かく、まさにコート一枚でサマになる、お気に入りの一着なのです。